2019/08/23

夏いくたびかの旅

記事の日付を見ると前回から2か月も“空白”が続いてしまいました。この“空白”は、でも、出来事があり過ぎて記す余裕がなかってのことです。この間、市内の小学校と保育園の訪問、精神科病院訪問、臨床実践の現象学研究会、現象学集中講義、初任者等対象の講義、特別支援学校の実践発表、湖南市社会福祉協議会人権講演会、塩飽海賊団主催特別講義などが続き、地元の社会福祉協議会の地域スクールが始まって今に至っています。そのどれもがいろんな意味で“ヒット”だったのでなかなか消化し切れないところですが、塩飽海賊団主催特別講義というちょっと怪しい名前の座談会は様々な思考をある意味でリセットしてくれる大きな節目となっています。村上靖彦、國分功一郎、熊谷晋一郎、松本卓也、千葉雅也の諸先生が一堂に会してのテーマは「今、現象学を通して見えているもの ドゥルーズを通して見えているもの」でたいへん刺激的でした。この座談会を聴いたことで、他者をキーワードとして自閉症を考えること、また、ラカンやドゥルーズの勉強をしたいと考えることにつながりました。同時に統合失調症を巡る歴史的経緯もすこぶる興味深い。早速、発達障害に続く病跡学などの本を調達して読むことになりました。現象学を学びながら研究を進めるのが自分のスタイルなのだろうと思います。

ところで、こうした慌ただしい中でふたつの「旅」が飽和状態の頭の中を整理するきっかけとなりました。ひとつは木曽駒ケ岳登山と八ヶ岳倶楽部訪問、もうひとつは東京での高尾山登山と国立国会図書館での調べもの、そして、神田神保町の古書店巡りです。とりわけ神田神保町の古書店は今も文献の宝庫だと思いました。単に本を探すだけでなく、そこに並んだ本の背を追っていくだけでも様々なインスピレーションが湧いてきました。半日見て回って買い求めた本には思いがけずハイデッガーの研究書が2冊入っていました。ハイデッガーを原語で読むことの重要さはスクーリングで何度か話がありましたが今はその時間がありません。もしかすると年老いて最期のとき読む本が原語のハイデッガーかも知れません。その前に神田神保町の古書店巡りを思う存分やりたいものです。

今日は昼前から日本育療学会の学術集会で横浜に来ています。内容も楽しみですが自分がどのように“反応”するかもまた興味深い2日間となります。

『レディ・ムラサキのティーパーティー らせん訳「源氏物語」』

 高橋亨の一連の著書と並んで今私が注目するコンテンポラリーの源氏物語論です。とんでもなく面白い。毬矢まりえ・森山恵の共著です。 毬矢まりえと森山恵はアーサー・ウェイリーが英訳した源氏物語を邦訳しています。ひょんなことからその「らせん訳」を読む前にこの『レディ・ムラサキ・・・』を読...