テレビ放映で久しぶりに全編を観ました。音楽はサントラ盤を持っているので聴いてはいるもののそもそもミュージカルなので映像がないと醍醐味はわからない。映画なので音楽と映像とのシンクロのみならずフォーカス先の移動等々と相俟ってすこぶる面白い。アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽の妙なる綾に誘い込まれると酔ったような心地がする。しかし、今回はストレートに堪能するというよりも怪人に込められたメッセージは何かとしきりに考えてしまいました。それはたぶん心理という言葉では表せない、人が人として存在する根源の意味のようなものなのだろうと思う。怪人をしてこの物語を成らしめさせているものと言えるだろうか。原作を読んでいないのであくまでも2004年制作の映画の中での私の考えでしかないのですが、2004年の公開に向けて原作があり、脚本があり、カメラワークがあり、音楽があり、道具、編集等々がありという中で、この映画として結実した社会状況と経緯も少なからず要因としてあることも含めて考えられるメッセージということです。例えば、終わり近いシーンで怪人が鏡を次々と叩き割るのはなぜかと考える。何を映すために彼は鏡を並べたのだろうか。単に宮殿をイメージした道具としてそれらはそこにあるのだろうか。いや、怪人は自分の顔が醜いことを誰よりも承知している。ときには仮面を着けた顔を鏡に映すことすらよしとしなかったであろう。なぜそうした鏡があるのかというより、感得は鏡を壊すという行為そのもののメッセージを入れたかったのかもしれない。ネットで検索するとそもそも鏡を割る、鏡が割れるということに“迷信が”があるようです。また、仮面そのものが意味することも興味深い。そうしたことを考えていると時間がいくらあっても足りないので映画を観るたびに怪人が伝えようとしているメッセージに思い巡らせながら答えのない時間に身を置く愉しみを味わいたいと思う。
2019/11/11
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