■勤務先の養護学校の文化祭でブラック・シアターとスヌーズレンの空間をクラスの企画として作りました。準備が慌ただしい前日の夕方、スヌーズレンの道具をすべて点灯したとき、教室は私にとってこの上なくやさしく安心できる空間になりました。人工の環境なのにどうしてこんなにも落ち着けるのだろうと、スヌーズレンを体験するたびに思います。「スヌーズレンは、治療方法や教育プログラムではありません。障害を持つ人が感じ取りやすく、楽しみやすいように、光、音や音楽、いろいろな素材の触れるもの、香りなどの刺激を揃えた環境を作り、提供します。障害を持つ人との活動で、介護者は治療効果や発達を一方的に求めず、障害を持つ人の人や物への対 応の仕方をありのままに受け入れ、共にその場を楽しみます。」(日本スヌーズレン協会) スヌーズレンは障害がある人のためだけのものではないと思います。そこはがんばらなくていいところ、自分の感じ方を確かめられるところ、美しいものを美しいとストレートに感じ合えるところ、誰にとっても大切な空間ではないでしょうか。セルフエスティームを育み支える空間です。
■文化祭では音と音楽の持つ力の大きさと意味についてあらためて考えました。障害がある子どもたちにとって環境を整えることはとても大切です。音もそのファクターのひとつです。体育館などの音響システムに発達障害の子どもたちが認知しやすい音と映像の環境を構築し、子どもたちの感覚の統合を効果的に支援するための機能をもたせたいと考えています。その第一歩は視覚的に注意すべき方向から注意すべき聴覚情報が聞こえてくること、そして、その質を高めることです。そうして環境を認知する力を高めることは自分自身の存在を確かめ、認め、セルフエスティームの育ちをバックアップすることにつながります。
■音というとNHKのかつての効果部主任、織田晃之助さん抜きには語れません。1980年頃のNHK特集の効果音はとても印象的でした。ひとつの音で映像が語り出すのです。ときには悲惨な場面もありました。ときには幸せな場面もありました。私は幸せを感じる音が欲しい。誰もが幸せを感じる音が欲しい。昨日、同僚から「音楽の時間に使う、ぎゅーっと子どもたちを包み込むような音楽が欲しい」と相談がありました。私の提案はシルヴァ・マクネアー&ダニエル・コビアンカの「アンチェインド・メロディ」です。至高の空間を感じます。
2004/11/13
スヌーズレン
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