2009/06/01

刑務所のリクエスト番組

刑務所内のリクエスト番組があることをNHKのニュース番組で知りました。受刑者が音楽にまつわるエピソードを添えてリクエストした曲を所内で放送することで自分を見つめなおし、互いの更生の励みとすることがねらいです。涙を流して音楽を聴く人たちの姿が印象的でした。これも音楽療法といってしまえばそうなのですが、音楽がもつ力を端的に表すエピソードと思いました。音楽の機能が受刑者の更生のプロセスで作用しているということ、自己理解と倫理観の獲得を音楽がサポートしているのです。では、その音楽の機能とはどういうことなのか。それは時空間の構造化、身体の構造化という概念だと思います。こんなはずではなかったということのあらたな気づきや自分の存在の重さと不安定さを実感することであるべき自分を考えるステップにすることです。でも、これは受刑者たちに限ったことではありません。音楽の力と機能にもっと謙虚になりたいと、自戒の念をこめてのこと。
石川ひとみの「まちぶせ」(1981)という歌は知っているようで何かきっかけがなかったら思い出せなかった1曲です。この頃の曲はプロデュースが興味深いことが少なくありません。「まちぶせ」も強いアフォーダンスを感じさせます。思春期の荒削りな想いに始まってその真っ直ぐさゆえの頑なさが伝える心の揺れがメッセージとなっています。荒井由美のオリジナル以上のメッセージ性が石川ひとみの持ち味です。音楽的にはコーラスとストリングスが効果的です。コーラスは安定感、ストリングスは浮遊感を演出していて、ときには双方が乗り入れて切なさを増幅しています。とりわけストリングスのラインがスリリングです。思春期の輝きと危うい心の揺れという一見相反する要素をひとつのメロディーラインで表現する編曲者の渾身の1曲なのでしょう。編曲は松任谷正隆です。そうか、やっぱり、そうだったのかと思う。この歌もどこかの刑務所で流れているのではと、ふと、そう思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ライシテ展

 いつしか3月も半ばを過ぎてまだまだ風が冷たいと思っていたところ今日は何かがちがうと思うほどの芯が感じられるほどの暖かさでした。そうか! 今日は彼岸ではないか! 暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったものです。 今日は県立美術館の企画展「ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光...