ミュージック・ケアの実践を行うとき私は音出しにMDを使ってきましたがやっとデジタル音楽プレーヤーに切り替えました。プレーヤーは前に携帯として使っていたiPhone5で、Bluetoothを介してスピーカーから音を出すという今では何でもないことです。しかし、曲が始まる前、冒頭に4秒間の無音を入れる方法がわからなくて二の足を踏んでいました。4秒の無音の「曲」と楽曲を1つのプレイリストに入れたらよいわけですが、その無音のデータというかファイルをどうやって作ったらよいのかわかりませんでした。ICレコーダーの録音レベルを0にしてみたり何もつないでないコードをAUXに差し込んでみたりしましたが、どうしても「シー」というホワイトノイズのような音が入ってしまって気になりました。そんな折、Audacityというソフトで無音ファイルを作成することをあるブログで知って解決しました。無音ファイルをiTunesに読み込ませてプレイリストの最初に入れることで目論見通りの音出しができるようになりました。“再生操作→場所に移動→「ようい」の合図で静止”という流れがスムーズになりました。
ミュージック・ケア草分けの先達はカセットテープ1本に1曲を録音してセッションを行っていました。曲順は即興プログラムなので1本のテープに続けて録音しておけなかったわけです。ソフトアタッシュケースいっぱいにカセットテープを詰めてセッションに赴くスタイルでした。カセットテープは、しかし、その量はともかく、テープを全部巻き戻したところから再生操作をすると数秒余りのブランクが生じるので時には予めテープを曲が始まる直前まで再生操作をして止めて頭出しをするというやっかいな代物でした。その点MDは1枚1曲の前に4秒のブランク(無音)入れることで移動して「ようい」の合図で静止する時間を確保することができました。ところが、MDはディスクのコンテンツの一覧(テーブル)を読み込むのに時間がかかったり物理的な出し入れが重なって劣化したりします。再生できないディスクも出てきました。そうなるとどうしようもありません。古いMDプレーヤーとMDのディスクを騙し騙し使ってきましたが限界が見え始めていました。
私が求めたのは完全な無音でした。MDのときの無音でも再生が始まると「シー」という音が聞こえます。今回作った無音ファイルも電子部品やコード、スピーカーを通るので完全には消えない。でも、完全な無音が欲しかったのです。4秒の無音は再生しても聞こえないのですがそれが心地よいのです。どこか哲学的ですらあると思います。「無」というのか「空」というのか、おそらく禅の概念とどこかで通じるものがあるのではないでしょうか。ミュージック・ケアの動と静、とりわけ静のなかに心も身体も素のままにゆだねることはかけがえのない経験だと思う。
※件のiPhone5はこのブログを辿ったところ2012年11月から使い始めたものとわかりました。バッテリーは1回交換していますが12年を経た今もこうして使えるのはただただすごい!
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