2025/03/02

教育史を読む

 先週の日曜日、雪の日に東吉野村の人文系施設図書館ルチャ・リブロを訪れました。高見峠は路面が真っ白でスタッドレスタイヤの効きを確かめながらのドライブでした。

ルチャ・リブロではいつもあらたな発見があります。先日は今井康雄編『教育思想史』(有斐閣アルマ 2009)でした。すぐに取り寄せて研究に直結する部分を読みました。第3部日本の教育思想 第11講「近世日本の教育思想と〈近代〉」(辻本雅史)と第4部 現代の教育思想 第15講「新教育以後の教育思想」(今井康雄)です。驚いたのは、これまで疑問に思っていたことや断片的に知っていたことが包括的にまとめられていた点です。素読におけるテキストの身体化や主体を表すsubjectという言葉がもつ「主体」と「臣下」の二重の意味、等々です。それに加えて新教育をその地平の外から見る視点として、フーコーやルーマン、ハーバーマスの考え方を腑に落ちるものとして知ることができました。アリエスの『〈子供〉の誕生』の視点も目から鱗でした。思えば私は大学で教育系のコースで学んだことはなく教育史も断片的にキーワードを追うくらいしか勉強したことがありません。この本は大学の教科書として使うことを視野にしたものと思います。この本が私が大学で学んでいた頃に出版され出合っていたとしてもどこまで理解することができたかは甚だ怪しいですがすべての教員が読むべき本ではないのだろうか。大学で教育史はどのように扱われているのだろうか。歴史を知らずして自分の「現在地」がわかるはずがないのではないか。

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