2学期が終わりました。入院していた子どもたちも何人かが退院して地元の学校に戻って行きました。病弱の特別支援学校は子どもたちが力をつけて地元の学校に戻って行く支援をすることが第一の役割です。子どもたちの健康をただただ願うばかりです。
昨日、日曜日の朝、NHK-ETVの「日曜美術館」は佐伯祐三の特集でした。この7月に三重県立美術館でまさに対峙したともいうべき佐伯祐三の絵画の強い印象がよみがえってきました。この番組中で驚いたことがありました。写真家の高梨豊が、佐伯祐三が描いたパリを写真に撮って回ったところ、50mmの画角でほとんどの写真が合致したというのです。35mm判で50mmは標準とされていますが、実際に50mmレンズを着けてファインダーでその画角を見ると思いの外狭く感じます。広角でも望遠でもない、中途半端な画角とされがちで標準と名付けられながらほとんどマニアックな扱いを受けてきました。でも、その画角が人間の目の見方にいちばん近いとのことです。私たちは広い視野の中で自分が見たいものに焦点を合わせて他の情報と区別します。物理的な視野と情報処理上の視野とは自ずから異なるわけです。でも、人間は欲張りなのでしょう。1枚の写真の中に広さを求めることがあります。では、佐伯祐三の視野は何だったのか。自然体でパリの街を見つめ、切り取ってカンバスに再構成したということもできるでしょう。自分の目がまっすぐ見つめるものだけをカンバスに描いた。50mmレンズの画角の窮屈さを知っているので佐伯祐三の気迫のエネルギーの凄さに圧倒されるのであろうか。50mmの画角といえば、「ダカフェ日記」がこのところの標準レンズのヒットの立役者です。APSサイズの受光素子だと30mm余という焦点距離のレンズがその画角になります。ちょっと使いにくいけど標準レンズでしか撮れない不思議な安定感の写真が撮れます。佐伯祐三が標準レンズの眼差しでパリの街を切り取ったという説は久々の大発見に思えました。
50mmといえばライカ、またまた危ない本と巡り会ってしまいました。藤田一咲の『ぼくとライカの旅 パリ・ヴェネチア編』(えい出版社 2008)です。カラーフィルムはFUJICHROME PROVIA 100Fで、銀塩しか出し得ない色そのものです。コントラストも然りです。デジタルは便利です。でも、フィルムの持ち味は捨て難い。フィルムカメラは大事にしよう。
今夜は絢香を聴いています。明日はタイヤをスタッドレスに換えて草花の苗を庭に植えましょう。そうそう、明日早朝、特別支援学校の新学習指導要領が文部科学省のホームページにアップされてパブリック・コメントの受け付けが始まります。
2008/12/22
佐伯祐三と標準レンズの眼差し
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