木曜日はとなりの病院のレストランで昼食を食べました。いつもの日替わりランチは久しぶりのさわらの天ぷらでとてもおいしく、しっかり味わいながらいただきました。レストランの窓からは空き地のような広場と病院の職員住宅が暖かな日差しに包まれて見えました。見ようによっては荒涼とした風景ですがその時は懐かしいシーンとして映りました。その風景を初めて見たのは2001年の年明け早々だったでしょうか。医療的ケアの医学研修で訪れました。その頃はレストランが入った新しい建物もなくて、文字通り荒涼とした空き地が広がっていたという記憶があるばかりです。
自宅近くの大型電気店の中に書店が開店して寄りました。DVDレンタルもしていて本もこの近辺では比較的たくさん揃えています。書店によって目に入る本はちがうもので、今日は『キーボード・マガジン』(リットーミュージック)の2009冬号No.363が気になる本でした。付録のCDに武部聡志のピアノ伴奏の「卒業写真」が収録されていて、これが聴きたくて買いました。歌だけのトラックもあってピアノ伴奏を募集する「歌伴コンテスト2009」という企画です。武部聡志のピアノ伴奏の「卒業写真」は期待通りの演奏でした。音楽的な構造が理に適っていて安定感があり、アレンジもお手本らしいシンプルさにこれもお手本らしく定番と思わせる装飾を施した品のある演奏です。何度聴いてもいい。本の方はビリー・ジョエルや理論、テクニックの特集があってこれもおもしろい。エマーソン・レイク&パーマーの譜面まであって懐かしいやら驚くやらです。1971年のアルバムとか。そのキース・エマーソンはデビュー40周年で、日本公演のステージの写真を見るとモーグが聳えています。なんと懐かしい。
同じく付録に掲載のハモンドのPRO-44Hというスズキの鍵盤ハーモニカにピックアップマイクを内蔵した楽器にはやはり出たかと納得するところがありました。値段は5万円とリーズナブルです。ポップスで鍵盤ハーモニカを使うプレーヤーは少なくないと思います。私は山下達郎の「ON THE STREET CORNER」の確か第1集で聴いたのが最初でした。1980年の初盤のレコードをCDで買い直したのは1986年のリミックス盤です。「教育機器」の鍵盤ハーモニカもこんな使い方があるのかとしきりに感心しました。当時、仕事用にヤマハの鍵盤ハーモニカの最上級モデルP-37を購入して子どもたちの歌にオブリガードを入れるなどして使っていました。その鍵盤ハーモニカのリードは軟らかな印象でした。その後、スズキからプロモデルPRO-37 V2が出たことを知って購入しました。こちらのリードはバンドネオンのような硬質な印象の音で、本体もしっかり作ってあるのか息漏れ感があまりになくて、吹いていると息が吐けなくて苦しくなるほどです。楽器としての上質感は値段相応でスズキの方に軍配が上がるのですが、ちょっとゆるい音質のヤマハはビンテージ感もあって疲れない音です。今はモデルが新しくなっているのでちがう音かも知れません。ライブの「こどもがいっぱいわらっている」のオブリガードも確かヤマハを使いました。その時も鍵盤ハーモニカは音のダイナミクスが狭くて限界を感じましたが、このハモンドのモデルは電気を使って表現の幅も広がるのではないかと想像しています。『キーボード・マガジン』インタビュー記事でモーガン・フィッシャーが鍵盤ハーモニカを吹いている写真があって、マウスピースの形状とボディの色から推してこれはヤマハのP-37シリーズでしょう。
こんなことを書いていると音楽活動をしたくなります。明日は県内のアマチュア・オーケストラがベートーヴェンの第九を演奏します。開演の時刻に仕事が入ってダブルブッキング、「くるみ割り人形」は無理としても第九は聴けるでしょうか。
2008/12/20
鍵盤ハーモニカの蘊蓄
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