2010/07/24

『借りぐらしのアリエッティ』と病弱教育

慌ただしい一日で、鈴鹿8耐前夜の風の会の後でスタジオジブリの新作『借りぐらしのアリエッティ』を観て来ました。アリエッティのお父さんが翔が病気だと言ったとき、私の頭の中は病気の子どもという設定でいっぱいになってしまいました。病気が文学に登場することは珍しくないのですが、子どもの病気は私にとってもうひとつ一大事なのです。だからこの物語の主人公は翔であってほしいと思うのです。心臓の病気とはもう長い間のお付き合いなのでしょう。手術前の翔は子どもらしくない落ち着きを見せています。そう、病気は子どもらしさを奪うのだ。病気の子どもは医療用語や薬のことをよく知っていて、自分の病気を客観的に語る術を知っている。おとな以上といってもいいくらいだ。翔は思春期に差しかかっていて、覚悟というより諦めすら感じさせる描き方だ。そんな翔はアリエッティを一目見て強く惹かれます。「借りぐらし」という不条理だけどひたすらに生きる姿、そのシンボルがアリエッティです。引っ越しの日に猫のニーヤが一役買ってふたりを引き合わせます。アリエッティは髪留めを翔に渡します。「懸命に生きる君たちを見てぼくも生きなければならないと思った。明後日、ぼくは手術を受ける。君はぼくの心臓の一部だ。忘れないよ、ずっと」翔はそう言ってアリエッティと別れます。もう二度と会うことのない別れですが、新しい自分を見つける別れです。ベッドで翔が読んでいた本は『秘密の花園』でした。アリエッティとの物語は翔の想像のもの。私はそれで腑に落ちるのです。だからこそ病弱教育の学校で勤務していたときに出会った子どもたちを思い出してただならぬ気持ちになります。この物語は病気の子どもの物語だと思います。ジブリでは初めてかな・・・!? 『となりのトトロ』のお母さんが病気という設定は『借りぐらしのアリエッティ』の伏線なのだろうか・・・まさかとは思うものの、次作では不登校や心身症等の子どもを描いてほしいと思っています。
鈴鹿8耐前夜の風の会は今年も猛暑でした。障がいがある人たちがバイクのタンデムで鈴鹿サーキットのコースを1周するというイベントは今年で9回目です。いちばんバイクに乗らない人たちがバイクに乗るイベントに最新モデルのバイクを提供するメーカーや販売店はいつもながら勇断だと思います。今年もたくさんのボランティアのサポートがあって活気がありました。レースクイーンも応援に来てくれます。このパワー、エネルギーを地域共生につなげる術がほしい。

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