■ひょうご子どもと家庭福祉財団主催の「スウェーデンの知的な障害を持つ子どもたちのラムセバンドによるヴァイオリンコンサートと音楽療法レクチャー」に行って来ました。
■ヴァイオリンは自分で音をつくっていく楽器ですね。ラムセバンドのヴァイオリンの音は太くてやわらかくてあったかいのです。そして、アーティキュレーション、曲の歌わせ方というのか、これぞ音楽の醍醐味というツボを押さえた音楽性の高い演奏でした。これはただごとではない!としっかりきくと、ピアノがあやしい。テンポの取り方に絶妙な揺れがあるのだ。音はやわらかくて強弱は抑え気味です。とてもうまく音をコントロールしている。コンサート後のレクチャーで『きらきら星』を弾いたとき、左手がやはりあやしい動きをしている。そして、ブルースを弾いたら抜群に楽しい。スイングに心得があるのだとわかってあやしい魅力に納得しました。拍を意図的にくずして演奏する人やきく人の情動が音楽の流れから一瞬自分のものとして返されてくる場、空間、時間を作っている、というのかな? これはジャズだけでなくすべての音楽にいえることです。子どもたちの演奏にも懐の深さ、歴史の長さを感じました。音楽が自分たちの言葉になっているわけです。歌も入って楽しいコンサートでした。
■プログラムはスウェーデンの民謡やメンバーが好きな新しい曲、そして、ABBA(アバ)の曲がいくつか入っていて少し考えてしまいました。ABBAは私も好きでCDを買い直したくらいです。ABBAの曲はスウェーデンの伝統的な音楽や詩のエッセンスがたくさん含まれているのではないでしょうか。吟遊詩人かも知れません。コンサートの最後はABBAの『Thank you for the music』でした。
■会場は兵庫県淡路島の淡路夢舞台国際会議場でした。設計は安藤忠雄氏だとか。斬新といえば斬新だけど私にはとても心地よい空間でした。明石海峡大橋を初めて渡ったのは4年前、高松に出張に行ったときでした。見かけ上単に巨大な吊橋というだけですが、その大きさにを目の当たりにすると圧倒されてしまいます。高速舞子のバス停もなんと高いこと!おそらく 4~5階分が1本になったエスカレーターもただ長いだけだけどそれだけでインパクトがあります。こんなものを造ろうという発想の源、哲学はどこからどんなふうに生まれてくるのだろうか。
■朝、車を地元の駅近くの駐車場に入れて気がついた。電車で読む本を持ってこなかったな…と車の中を見渡すと、少し前に買った本が袋に入ったまま置いてあったのでバッグに入れました。リーナス・トーバルズとデイビッド・ダイヤモンド著『それがぼくには楽しかったから』(小学館プロダクション 2001)です。リーナス・トーバルズといえばLinuxを開発したあのリーナスさんです。これは「全世界を巻き込んだリナックス革命の真実」とのこと。読んでみると「詩と真実」です。Linux開発の専門的なことから生い立ち、毎日の生活、人生の哲学まで、本人とジャーナリストの二人がいろんな角度から書いていて読み物としてもたまらなくおもしろい。さらに、フィンランドについての記述も興味深い。歴史から生活習慣、学校制度、国民性、、音楽、等々、どれもが知らなかったことばかりです。フィンランドは豊かな国だと思いました。ラムセバンドはおとなりのスウェーデンです。演奏とレクチャーから直に感じた北欧の印象はやはり豊かということでした。障害があってもなくても高いQOLがあるように感じました。レクチャーには何度も個人の「尊厳」という言葉が使われました。何の違和感もなく私の耳に入ってきました。また、『それがぼくには楽しかったから』を読むと、Linuxは、北欧、ヨーロッパで生まれるべくして生まれたのではないかと考えてしまいます。アメリカにはヴェンチャーという言葉が、ヨーロッパにはアヴァンギャルドという言葉がお似合いだと思うのだが…
2003/04/05
ラムセバンドとLinux
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