2026/10/30

学校の音楽文化

先日、信州大学教育学部附属長野小学校・長野中学校・特別支援学校の合同公開研究会に行ってきました。国の事業「インクルーシブな学校運営モデル事業」を受けての開催で3校合同は初めてとのことでした。特別支援学校の児童生徒が附小附中の児童生徒と共に授業に参加するいわゆる交流及び交流学習ですが、参観した附小の授業では私自身がことさら「交流」という観点で見てしまうことなくそこに居られたことにこの取り組みの積み重ねと真価があると見ました。それは何ゆえなのか。その後の全体の研究発表だったと思うのですが、教科そのものを追究することを第一とした旨の話がありました。教科の良さや面白さ、構造、学習のステップなどを分析し、学習を組み立て、教材教具を含めた学習環境を整えることを、「交流」を前提としながらていねいに吟味して構築してきたということです。

私が参観した附小6年生の授業はまさにそれが具現化されていたと見ました。つまり、「交流」然とした授業ではなく、音楽の良さや面白さを学年相応の学びの中で共に追究するものでした。かといって小難しい言葉や意見が飛び交うのではなく、終始穏やかな中で授業のテーマに沿った学習が進んで行きました。題材は「夢をかなえてドラえもん」の器楽合奏で、午後の音楽フェスティバルで「お客さんに楽しんでもらえるようにするにはどうすればよいか」が目標でした。私が驚いたのは6年生の演奏でした。詳細を記すことは控えますが、その演奏はおだやかで吉田秀和の著書名『之を楽しむ者に如かず』を思い起こさせました。小学生の演奏なのに深みや情緒の豊かさを感じるとは一体どういうことなのか。

40年くらい前に長野市の公立小学校を訪れて音楽の授業を参観したことがありました。授業者の先生はその学校の子どもたちの音楽経験の豊かさについて話してくれました。長野と音楽といえばサイトウ・キネン・オーケストラ、同フェスティバルやスズキメソードが思い浮かびます。幼い頃から音楽に親しむ文化風土がそこにあったと言えるでしょうか。そんなことを思い出したので調べるとその公立小学校と信大附属3校は車で数分の位置関係でした。私が参観した附小の授業とこれらがどのようにつながっているのか、また、つながっていないのか、それはわかりませんが、附属3校公開研究会午後の音楽フェスティバルもまた興味深いもので何らかのつながりがあるのではないかと思いました。

参観した音楽の授業も音楽フェスティバルも子どもたちも先生も窮屈そうなところがなく音楽を楽しんでいるんだなぁと聴く私までもがおだやかな心もちになりました。附属特別支援学校高等部の寸劇も面白く楽しかったし附中生徒のグループの発表もまたちがった音楽の楽しみ方がありました。ふと気になってネットで調べると、附属長野中学校ではクラス対抗合唱コンクールなるものは行っていないようでした。奇しくも今月10月16日の朝日新聞に附属長野中学校に合唱指導に訪れた信長貴富氏が「他者とともに自由であること 信長貴富さんが思う「音楽の喜び」 」と題してそのことを詳しく記しています。音楽を生徒指導の道具として使うのではなく音楽に親しむことを第一としてその機会を大切にしていると考えてよいでしょう。

今回の研究会はインクルーシブ教育について学ぶことが第一のねらいでしたが奇しくも音楽について深く考える機会となりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

学校の音楽文化

先日、信州大学教育学部附属長野小学校・長野中学校・特別支援学校の合同公開研究会に行ってきました。国の事業「インクルーシブな学校運営モデル事業」を受けての開催で3校合同は初めてとのことでした。特別支援学校の児童生徒が附小附中の児童生徒と共に授業に参加するいわゆる交流及び交流学習です...