2024/12/20

Chromebook

Chromebookを購入しました。機種は、Lenovo Chromebook IdeaPad Flex 3i Gen8 で、モニタは12.2インチIPS、インテル® プロセッサー N100を搭載してメモリは4GB、ストレージは eMMC 64GB、バッテリー駆動は12.0時間、重量1.25kg、色はアビスブルーです。

Chromebookを使う理由はテキストを打ち込むことに特化したツールが欲しかったことにありますが、少し前にWindowsが世界規模でブルーアウトしたときChromebookで救われたという海外滞在中のライターの記事を読んでそのための備えもしておきたいと考えたこともあります。候補を探していていろいろバランスが取れていそうなこのモデルが目に留まりました。LenovoのノートPCはこれで3台となりました。黒でも白でもシルバーでもない色が気に入っています。

いわゆる2+1スタイルでモニタはタッチスクリーンです。ただこのモデルはグレアで指紋が付きやすいとのことでまずノングレアのフィルムを貼りました。これがまことにきれいに仕上がって満足! 他のLenovoと同じくアールズギアの龍のマークもきれいに貼ることができました。キータッチは他の2台のYOGAシリーズのような質感はありませんがコンパクトで手に馴染みます。

ChromebookのOSはChrome OSでWindowsやMac OSのようにいろんなことができるわけではありませんがストイックにテキストを打つにはなかなかの相棒です。この潔さがいい。自作PCが起動しなくなってiTunesのプレイリストをなくしたことで気づいた意識のリセットの延長線上でChromebookに出会ったわけです。

Chromebookをテキスト入力ツールと割り切って使っている人はままいるようです。「Chromebookで小説を書くためのアプリ」で検索するとけっこうディープな記事がヒットします。Androidの縦書きアプリを使っている人もいてさもありなんと思いました。Microsoft 365のアプリを使うとOneDriveベースの私の環境もChromebookで使えるのでテキスト入力ツールとして申し分ありません。Google Keepを併せて使うと強力なツールです。オフのときもできるだけ持ち歩いてとにかく書いていきたいと思っています。

2024/12/14

小澤征爾の「白鳥の湖」

 いつしか通勤ドライブで「白鳥の湖」ばかり聴くようになって全曲盤が6つ集まりました①小澤征爾+ボストンシンフォニーオーケストラ、②シャルル・デュトワ+モントリオール交響楽団、③アンドレ・プレヴィン+ロンドン交響楽団、④ヴォルフガング・サヴァリッシュ+フィラデルフィア管弦楽団、⑤ワレリー・ゲルギエフ+マリインスキー劇場管弦楽団です。いちばん早く入手したのは小澤盤で、その頃はYouTubeなるものもなく「白鳥の湖」のバレエも観たことがなく、ただ音楽を聴いて想像するだけでした。その頃は小澤のテンポが速く、また、テンポの揺れが大きく感じて管弦楽曲としては醍醐味を感じるもののこれで踊れるのだろうかと訝しく思ったのです。それから20年が過ぎた今、いろいろ聴いて小澤の「白鳥の湖」が私のスタンダードになってきました。彼の音楽は楽曲がこうありたいと思うそのままに表現されているのだと思います。私の言い方では「音楽が機能している」ということになります。それゆえ音楽にまつわる人たちのいろんな思い入れは一旦横に置いてその楽曲の核心を見いだそうとする。そう、まるで現象学の営みであると言えるでしょう。そのことで聴く人はあらたに自分の思い入れを重ねて音楽に我が身を委ねることができるようになる。演奏する人たち、オーケストラの団員やソリストたちも然り。一言でいえばとにかく伸びやかな演奏となる。

過去のブログから…

2004.12.15
小澤征爾指揮新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会に行って来ました。プログラムはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ベートーヴェンの交響曲第7番です。ピアノはアルカディ・ヴォロドスです。小澤征爾の音楽はヴィヴィッドです。生命力に溢れている。ラフマニノフもロマンティックだけどウェットではない。ベートーヴェンは構造的で各パートが歌っている。アンコールのウィンナ・ワルツはこれまで聴いたことがないようなテンポルバート! 小澤征爾は全身音楽なのだ。彼の感性のとらわれのなさの秘密は何なのだろう。彼の音楽は彼自身そのものだと思う。

2009.1.2
大晦日の午後、アテンザで移動中にNHK-TVで小沢征爾のチャイコフスキーの「悲愴」を少し聴きました。オーケストラはベルリンフィルでした。すごく懐かしく聴きました。小澤が振る「悲愴」を初めて聴いたのは学生のとき、NHK-FMのライブ放送だったように覚えています。オーケストラがたいへんな音量で鳴り切っていた印象があって驚きました。これがあの「悲愴」なのかと思いました。でも、チャイコフスキーのスコアに忠実な演奏だという印象もまたありました。そう、小澤が振ると、演奏家と楽器が最高のパフォーマンスを発揮するように思えてなりません。その上で楽譜通りに奏でる。こんな曲だったのかと驚き、感動します。ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番もその最たる印象がありました。オーケストラの団員ひとりひとりが最高のパフォーマンスを発揮する指揮、それが小澤のマジックともいえるでしょう。

20年前と同じことを書いていますが学生の頃にもうそんなことを思っていたとは驚きました。

2024/11/24

湖東ツーリング

 新型コロナの感染拡大以来途絶えていたマスツーリングに行ってきました。天気の関係で1週間延ばしてのことでした。ところが昨日は帰路に降られて小降りとはいえ晩秋の冷たい雨の中を走ることになってしまいました。路肩の気温計は8℃や9℃でした。

Banditは4月の車検後、7月と10月に走っただけで今回で3回目でした。とにかくバイクが重くて後輪が滑るような感覚もあって不安で仕方なかったのですが集合場所で知人が持っていたエアゲージで空気圧を調べてもらうと指定通りだったのでそのまま走り出すことにしました。

国道306号線で滋賀に入って奥永源寺渓流の里という道の駅では黒っぽい灰色の雲の下、強い北西の風が吹いてとにかく寒い。そこから永源寺を横に見て走ってたまたま目に入った愛荘町のラーメン店で一息つきました。ラーメンを食べ始めてわかったのは朝ろくに食べずに出て来たので空腹のため体に力が入らないということでした。昼食の米飯は150gと決めているのでこってりしたラーメンは数値以上に高カロリーに思えました。でもそのおかげで後半は楽に走れて金剛輪寺の参道も苦も無く登ることができました。

その金剛輪寺の参道は400~500mとのことですがとにかく登る登る。途中で見上げるとあそこまで登るのかと思うくらい続く。参道の両側には小さなお地蔵さんが並んでいて風車が挿してあります。途中にはそのお地蔵さんが何百と整然と並ぶ所があってそのひとつに陶器の天使が置かれていたのが目につきました。水子供養なのでしょう。そして、金剛輪寺の山門の脇にはバイク地蔵尊が据えられてありました。

金剛輪寺の前で全員がそろって次の目的地まで走ろうというときになって小雨が降り始めました。空の端が雲が切れて明るかったのでそのうち止むだろうと出発したら止むどころか所によってはけっこう降っていました。山間部のカーブはとにかく滑って転倒しないように注意しながら走ったので気力体力ともけっこう消耗しました。下りの右カーブがいちばん怖かった。それでも土山の旧街道まで来ると雨も上がって土道を模した舗装はグリップが効いて心地よいものでした。明治天皇が宿泊した陣屋というのか建物の前でバイクを一列に止めて詳しい知人の説明を聞きました。その後は鈴鹿峠を通って帰ってきました。帰宅は5時前だったので雨の中を走ったバイクの手入れは翌日にしました。

2024/10/26

ケースファンの交換と増設など

 Core i5の自作PCのケース前面ファンの交換と増設しました。取り寄せた「UNC ユニファイアメリカの並目ねじ」の「No.6 32山」というネジはケースに付属のものより5mm長くクーガーのケースファンにはぴったりフィットしました。されど、されどのネジです。オレンジ色のファンが2個上下に並ぶ様は壮観です。Define R5のファンコントローラーを3段階中の「弱」にして回しています。静かです。

あと、ストレージ類のSATAケーブルをストレートタイプに交換してコネクトにできるだけ横の力がかからないようにしました。色は水色で光学ドライブの赤のケーブルと区別してわかりやすくしました。コネクトを欠かしてしまった電源ケーブルも取り替えました。

そしてカードリーダーを取り付けようとしたら5inch-3.5inchのアダプターに入らないことがわかりました。カードリーダーのサイズが大きいのかアダプターのサイズが小さいのか? こんなことは初めてです。Amazonのこの種のアダプターのレビューを見るとやすりで削ったという記述があってなんだかなぁと思いました。カードリーダーと同じメーカーのアダプターを調達するかどうか一思案です。ケースファンのネジの一件もそうですが「最先端」を行っているかのようなパソコンにネジのような基礎パーツの規格が複数混在していたり建付けがおかしかったりとミスマッチが目立つのは笑うしかない。

自作PCのパーツは新型コロナの感染拡大でパソコン需要が高まったとき軒並み値上がりしたそうですが今は実売価格も落ち着いてきたようです。ちょうどそのタイミングでパーツを揃えることができたのかなとじわじわとわかってきました。10月に入って値段が上がってきていると見ています。

2024/10/20

冬支度

今朝、いきなり晩秋が訪れたかのような寒さに驚きました。駐車場までジャケットを着て歩きました。色づいたハナミズキ並木の葉が朝日に赤く染まる歩道を歩くとやっと訪れた秋にわくわくしました。天気予報では来週末は雨のようなのでホームセンターで春の花の苗を調達して植えることにしました。10本セットのビオラの「シトラスMIX」に付いていた写真がオレンジ系のパステルカラーできれいだと思ってよく見るとミニパンジーとか。小さな花がたくさん咲いてくれることを期待して2パックを買い求めました。計20本、ポットに植えて玄関先に並べました。

今日の冬支度のメインイベントはオデッセイのタイヤをスタッドレスに替えることでした。215/60R16のタイヤはさすがに重く、また、今日は1本目のときのジャッキアップがやたら重くて参りました。これを4回も繰り返すのかと。ところが2本目からはいつもの手応えで順調に終わりました。ガソリンスタンドで空気圧の調整に行ってプラス0.3hPaの2.5hPaに揃えました。トレッドのブロックの一つ一つが路面に当たる細かなノイズが心地よく伝わってきました。オデッセイはますますゆったりとした動きになりました。10月半ばにスタッドレスに交換したのは11月早々に扇沢から立山室堂に行く予定があるからです。11月の室堂は厳冬期でその玄関口の扇沢も積雪や凍結が予想されます。スタッドレスに加えてタイヤチェーンも携行して備えます。あわよくば紅葉と雪景色の両方を堪能したいという欲張りな計画です。

2024/10/19

Core i5 自作PCのその後

久しぶりに予定がない週末ゆえか朝早く目が覚めてCore i5の自作PCに追加のパーツを組み込みました。グラフィックボード (MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 8G)とHDD(Seagate ST4000DM004 4TB / 5400rpm / BarraCudaシリーズ)です。グラボは挿すだけですがHDDはフォーマットが必要でWindowsツールを起動したもののiTunesのデータが保存してあるSSDが認識されていないことがわかりました。使いまわしの電源コネクタの端を欠かしてしまってそれが原因かと思いきやグラボ近くのSATAコネクタが緩んでいたのを直して復旧しました。コード類は使いまわしが多くて中には10年以上のものがあるので古いSATAと電源のケーブルを新調することにしました。

ゲームに一定使えるグラボを組み込むのは初めてですが通常の使用ではその効果はなんら体感するものがありません。先々扱うであろう映像処理に備えてのことです。HDDはデータ保存用ドライブの更新です。今使っている2TBのHDDはなんと12年も前のもので不具合はなさそうですがいつ壊れてもおかしくない古参です。

今日組み込むことができなかったのはケースファンです。先日秋葉原で調達したCOUGAR VORTEX 14cmFAN タービンブレード&タービンフレーム CF-V14Sは厚みがあってDefine 5に付いていたネジでは長さが足りませんでした。隣市のパソコンショップにそのネジを持って行って聞くとどうもはっきりしない返事でした。「ファンのネジは基本的に付属のものしか使えない」とのこと。その足でホームセンターに行ってネジ穴のサンプルと合わそうとすると「UNC ユニファイ アメリカの並目ねじ」の「No.6 32山」ということがわかりました。ミリとインチの問題ではなくどうやら特殊なものらしくてその店にはなくAmazonで探しました。その規格で探していた30mmのネジが見つかりましたがレビューを見るとやはりパソコンのファンに使うために探しに探して購入することができて「ありがたい」という書き込みがありました。パソコンのパーツは「相性」があると言われますがそもそも物理的にもフィットしない規格が混在しているわけです。たかがネジ、されどネジです。ケースファンの組み込みは来週に持ち越しです。

モニタはBenQ EW2880U 28インチ/4K/IPS/HDRiを2枚です。あと、外部5インチベイにカードリーダーを取り付ける予定です。

2024/10/14

秋葉原にて

週末に秋葉原を回ってきました。目的はパソコンのパーツやモニタ、キーボードをこの目で見たり手で触れたりして実際の使い勝手を知ることでした。地方にいると製品そのものを目にする機会ががなく試行錯誤の買い物をすることになってしまいます。秋葉原で専門店に行くと見たことはもちろん聞いたこともないメーカーの製品が並んでいて驚きました。いつの間にこんなことになったのかと! 今回の2台の自作PCは情報が少ないながらもどうにかほどほどの選択ができていたのではないかと思いました。綱渡りだったとも言えほっとしています。

いつの間に...というのはゲームの興隆です。ある専門店では3フロアをゲーミング関係の売り場に充てていていました。そして、およそパソコンゲームなどしそうにないと思える年配の人やどこでも見かけるような身なりの女性の姿が少なくありませんでした。これは一体どういうことなのだろうと考えてしまいました。頭の白い私もそのひとりといえばそうでした。ネットでは「ゲーミング」と銘打った製品が溢れるように見かけるのでいささか胡散臭く思っていましたがパソコン界のひとつの潮流となっているのだろうと認識を新たにしました。

ゲーミングと銘打たれた製品に共通するものは何か。それは五感に訴える要素の強調ではないのだろうか。キーボードならゲームに特化した反応の速さや長時間使用時の疲れの少なさ、また、打感や音もそうした要素になってくるだろう。モニタであれば精緻かつ動きの滑らさ、色の数の多さ、グラデーションの滑らかさ、そして長時間使用時の疲れの少なさだろう。それらは仕事でも大事な要素であってゲームがパソコン界にもたらした功の部分だと思います。功罪の罪とは...価格の上昇かもしれませんがインターフェイスの質が向上したのだから罪とは言えないか。

今回の自作に合わせて調達したモニタは28インチの4Kのモデル2台です。1台でもA4を4枚表示できる精緻さがあることは前の職場でわかっていました。これもゲーミングと銘打たれてモデルで高値でしたが発売後3年を経て値段もこなれて手が出るようになりました。2枚並べると130cm近くになるのできっと壮観ですが部屋を片付けないと置けない。私は開けたウィンドウはすべてそのまま開けていつでも見ることができるようにしておきたいのでその環境ができるのは楽しみです。晴耕雨読に備えた大きな投資です。

秋葉原で買い求めたのはずっと迷っていた増設のケースファンで、最終処分のワゴンセールで掘り出し物を見つけて2台を調達しました。CougarというドイツのメーカーのものでケースはスウェーデンのFractal Designなのでヨーロッパの製品が極東の片田舎で出会うことになりました。

2024/09/29

RYZEN 5、もう1台の自作パソコン

 今日は隙間時間にもう1台のパソコンを組み立てました。AMD RYZEN 5とMSIのマザーボード、16GBのメモリ、ストレージの500GBのSSDは新調しましたが、電源やケース、光学ドライブはこれまでのものを使いました。CPUクーラーは今回コンパクトなリテールを使ったのでケースの中はガラガラになりました。といってもmicroサイズなのでコード類がかなりのスペースを取りました。組み立ては1時間もかかりませんでした。通電も一発でクリアしてやや気がかりだったWindows11もあっさりとインストールされました。前のAMD A8と比べると起動は段違いの速さでブラウジングもクリックにきびきびと反応して爽快です。セットものやセール品ばかり集めたので予算も低く抑えることができました。OSもMicrosoftの正規品が一時値段を下げていてこれも助かりました。でも、電源は500Wで基礎体力は十二分だしケースはFractal DesignのDefine R8なのでリビングではファンが回っているかどうかもわからないくらい静かです。これで自宅のデスクトップはしばらく安泰かと思っています。

2024/09/28

iTunesの修復

 自作PCは概ね順調に動いていますが、iTunesのプレイリストが失われてライブラリーとプレイリストの修復がネックになっています。Cドライブ以外に保存してあった音楽データは全て無事…のはずなのですが、そのデータは「アーティスト」別に生成されたフォルダに保存されていてそれが厄介です。例えば、CDでは1枚のアルバムでも複数の「アーティスト」の曲が入っていれば「アーティスト」別に生成されたそれぞれのフォルダに保存されていてアルバムの形に曲を集めて並べるのはほぼ不可能です。また、複数のCDがボックスとしてまとまっていてもCDのネーミングによって別フォルダに保存されているのでプレイリストとして整理するのも厄介です。私のライブラリーは一万数千曲あって気の遠くなるような作業になります。文字通りのライブラリーとしてこれから少しずつプレイリストを作っていくことになります。

そうして作業をしているとついつい聴き入ってしまいます。図らずも聴き直しとなってこれはこれで面白いものです。私のライブラリーのほとんどはクラシックでその時々に集中的に聴く曲があって、今はチャイコフスキーがどうにも気になっていろいろ聴いています。今日はチャイコフスキーとブラームスのプレイリストをいくつか作成しました。作業は遅々として進みませんがこれはこれで楽しみです。

2024/09/23

北アルプスと信濃大町

 先々週末、北アルプスの唐松岳に行ってきました。八方池止まりで登頂までいかなかったのですが北アルプスの雄大かつ壮麗な山々を目の当たりにして、また、翌日訪れた大町山岳博物館で知った登山を巡る大町の歴史の密度の高さに目を奪われつつも満たされたものがありました。率直にすごい!と思いました。

前日の夜8時半に出発して黒菱駐車場に着いたのが午前2時でした。暗く細い林道を慎重に進んでこの先に何があるのだろうと思っていたら200台収容の駐車場はほぼ満車だったので驚きました。私もそのひとりですが山行に時間もお金も体力もかける人がこんなにもいるのかと。でも、八方池にいるとどんどん登山客が来て唐松岳の方向に登っていくその多さにはもっと驚くことになります。どうにか車を停めて外に出ると夜空は満点の星が輝いていました。

仮眠もままならないままリフトが動く午前5時が迫ってきたので支度をしてリフトに向かいました。日が昇り始める中でリフトに乗って後ろを振り向くと下に雲海が広がっているのがわかりました。雲は上に乗れそうなくらい分厚く見えました。リフトの乗り換えを待つ間に日の出を迎えてそれはそれはきれいでした。刻々と光が変わるので何枚も写真を撮ったつもりでしたが後で見返すとそんなにたくさん写真を撮ったわけではなくその風景に見とれていたのでしょう。日が昇ると白馬の山々がくっきりと見えて壮大でした。双眼鏡で見ると白山の山小屋に続く稜線に数人の登山客の姿がありました。急斜面の山肌や雪渓の表面の黒い筋も荒々しくて見入ってしまいました。私の技術と体力では近づくことすらできません。それでもただ見ているだけで満たされるものがありました。

2つ目のリフトを下りていよいよ登山となりました。きっと寒いだろうと初冬向けのウエアを用意したものの登り始めると日差しは強く流れる汗がメガネに付いてそれがとにかく煩わしい。八方池に着く頃には行く手にガスがかかることが多くなって池に映る山を見ることはできませんでした。また、時間的に登頂することも断念しました。それでも満たされるのは何だったのだろうと思います。

その日は白馬に泊まって8時間眠り続けました。翌日は爽快な気分で大町山岳博物館を訪れました。昼前、駐車場はほぼ満車でした。博物館に足を踏み入れるとさもあらんとすぐわかりました。順路一番の3階の窓から見えるはずの北アルプスの山々は中腹から上が雲で見えなかったものの南北に連なる山々の大きさはわかりました。大町の人たちはこの風景を見続けて暮らしているのだと
思うとその風景からもたらされるものの見方や考え方はきっと私にはすぐにはわからないものにちがいないと思いました。地質や岩石から始まって登山の歴史を物語る数々の展示はそれを示すものでした。ウェスタンに北アルプスを案内した上條嘉門次がウェスタンから贈られたと伝えられるピッケルなど貴重な収蔵品が展示してありました。これはただ事ではないと思いました。

私は高校のとき合唱組曲「山は祈る」を通して登山を考え始めました。大学に入ってからは山岳関係の本をよく読みました。新田次郎の小説や加藤文太郎の『単独行』などです。のめり込みました。しかし、ワンダーフォーゲル部に入っている友人の話を聞くと登山は自分にはとてもできるものではないと思い込んでしまいました。-10℃の冬山でシュラフにくるまって寝ること、岩場で20kgのリュックを背負って靴の先1cmを岩に置いて体重を支えることなど、そんな話を聞くと山で命を落とした「山は祈る」の世界がよみがえってくるのでした。自分には絶対できないししてはいけないことだと思いました。映画「アイガーサンクション」を観たときもそう思いました。

その後、退職後のことを考えるようになった五十代半ば、書店で平積みになっていた加藤則芳の『メインの森をめざして』(平凡社 2011)で欧米のロングトレイルの文化を知って私もいつかは山を歩きたいと考えるようになりました。山に入って自然や歴史を肌身で知って言語化することは私を惹きつけました。退職した翌年、知人が登山を始めると私も誘われて山に登るようになって今に至っています。三重県は鈴鹿山脈をはじめ登山に適した山がたくさんあります。その歴史もまた興味深くて山岳史などの本も集めるようになりました。そうした私のささやかな経験の延長線上で北アルプスの雄大かつ壮麗な姿と登山を巡る大町の歴史を知って圧倒されたわけです。大町山岳博物館を訪れた日は朝から北アルプスにガスがかかって昼過ぎになるとすっかり雲に覆われてしまいその全貌は見ることができませんでした。大間ににはこの先何度も訪れることになると思います。アルプスの山々を毎日仰ぎながらの暮らしはどんなものなのだろうかと興味津々です。

パール・バック『母よ嘆くなかれ』

音楽療法の研修資料で前に作成したスライドからパール・バックの引用を使うことにしました。ポール・ノードフ、 クライブ・ロビンズ著、望月 薫訳『障害児教育におけるグループ音楽療法』(人間と歴史社 1998) に寄せたパール・バックの「序」の一部です。 遅滞のある、ゆっくりと考える人た...